サービスの価格を決めるときに調べておくこと。値付け前の5つの確認

新しいサービスのページを作ることになり、最後まで残ったのが価格欄です。同業のサイトを見ると十万円と書いている会社もあれば、五十万円からと書いている会社もある。自社の手間を考えると三十万円くらいかと思うものの、根拠があるわけではない。「まずはこのくらいで出してみて、反応を見て調整しよう」と決めたまま、二年経っても同じ数字が載っている。
価格は一度出すと変えにくくなります。だからこそ、出す前に何を調べておくかで、後の身動きの取りやすさが変わります。
自分の原価を「時間」で測る
最初に確かめるのは、そのサービスを一件納めるのに、自分の時間がどれだけかかるかです。材料費のない仕事ほど、ここが曖昧になります。
過去に似た仕事をしているなら、記録を掘り起こします。記録がないなら、次の工程ごとに見積もります。
- 最初の打ち合わせと、その準備
- 相手から材料をもらい、足りないものを聞き直すやりとり
- 実作業
- 確認と修正の往復
- 納品後の説明や引き継ぎ
見落としやすいのは、実作業以外の時間です。特にやりとりと修正の往復は、実作業と同じくらいかかることがあります。ここを数えないと、忙しいのに手元に残らない状態になります。
合計時間が出たら、自分が一時間あたりいくら得たいかを掛けます。この数字が、下限の目安です。ここを割る価格は、受けるほど苦しくなります。
相場は「価格そのもの」ではなく「何が含まれているか」を見る
同業のサイトを見て価格だけを拾っても、比べたことになりません。同じ金額でも、含まれる範囲が違えば別の商品です。
調べるときは、価格と一緒に次を控えます。
- 修正が何回まで含まれるか
- 納品後のサポートが含まれるか、別料金か
- 打ち合わせの回数に上限があるか
- 素材や原稿を誰が用意するか
- 追加費用が発生する条件
この五点を並べると、安く見えた価格が実は範囲の狭い価格だったり、高く見えた価格に自分が別料金にしている作業が含まれていたりすることが分かります。相場を知るとは、金額の分布を知ることではなく、この対応関係を知ることです。
価格を公開していない会社が多い場合、その業種では個別見積もりが普通だという情報自体が判断材料になります。
相手が何と比べるかを想像する
見込み客は、同業他社とだけ比べているとは限りません。次の選択肢とも比べています。
- 社内の誰かが片手間でやる
- 何もせず今のまま続ける
- 道具やサービスを導入して自分たちでやる
「何もしない」は最も強い競合です。相手にとって、その仕事を外に出す理由が金額より先に必要になります。
ここを踏まえると、価格ページに書くべきことが変わります。金額の横に、相手が自分でやった場合にかかる手間や、放置した場合に起きることを短く添えると、比較の土俵が揃います。数字で断定する必要はなく、工程を並べるだけでも伝わります。
価格の幅と、幅が動く条件を決める
一つの数字だけを出すと、想定外の案件が来たときに断りづらくなります。幅で出し、幅が動く条件を先に決めておきます。
決め方の手順はこうです。
- 最も標準的な案件を一つ思い浮かべ、その価格を置く
- それより手間が減る条件を挙げ、下限を置く
- 手間が増える条件を挙げ、上限を置く
- 上限を超える案件が来たらどうするかを決めておく
手間が増える条件の例は、関係者が多く確認に時間がかかる、材料が揃っていない、短い納期を求められる、といったものです。これらを条件として明文化しておくと、見積もりの場で値上げを言い出す気まずさがなくなります。「この条件に当たるので、こちらの範囲になります」と説明できるためです。
上限を超える案件の扱いも決めてください。受けない、別枠で見積もる、段階を分けて提案する。決めていないと、その場の勢いで安く引き受けることになります。
値上げの余地を最初から作っておく
価格は後から上げるほうが、下げるより難しくなります。最初の設計で余地を作ります。
- 価格に「現在の内容での価格」という位置づけを持たせ、内容の見直しとともに改定できる形にしておく
- 含まれる範囲を明記しておく。範囲が曖昧だと、値上げがただの値上げに見える
- 既存の取引先への扱いを決めておく。据え置く期間を設けるなど
- 改定を検討する時期をあらかじめ決めておく
値上げが説明できるのは、何が変わったかを示せるときです。対応範囲を広げた、所要時間が増えた、提供する成果物を増やした。逆に言えば、最初の時点で「今の価格は今の内容に対するもの」と位置づけておけば、内容が変わったときに自然に改定できます。
まとめ
価格を決める前に調べるのは、自分の時間原価、相場に含まれる範囲、相手が比べている選択肢、幅が動く条件、そして値上げの余地の五つです。金額を先に決めて後から理由を探すのではなく、この順で積み上げると、聞かれたときに説明できる価格になります。
今日できることは、直近で納めた仕事を一つ選び、実作業以外にかかった時間を書き出すことです。やりとりと修正の時間を数えるだけで、今の価格が妥当かの手がかりになります。
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