決裁まで進む提案書の構成と、書く順番の決め方

  • #提案書
  • #資料作成
  • #営業
  • #社内調整

先方の担当者は前向きでした。打ち合わせでも手応えがあり、その場で提案書を送る約束をして帰ってきた。ところが2週間経っても返事がない。催促すると「上に出しています」という返答。さらに待って、結局は「今回は見送りで」と連絡が来る。何が引っかかったのかは分からないままです。

担当者に響く資料と、決裁者が判断に使える資料は別物です。提案書が社内で止まるときの多くは、内容が悪いのではなく、決裁者の手元に届いた時点で判断材料が足りていません。

読む人が二人いることを前提に組む

提案書には少なくとも二人の読み手がいます。打ち合わせをした担当者と、その先の決裁者です。担当者は経緯を知っていますが、決裁者は資料しか見ません。しかも短時間で目を通します。

そのため、冒頭には「この提案は何のために、いくらで、いつまでに何が起きるのか」を置きます。背景説明や自社紹介から始めると、決裁者は判断に必要な部分に辿り着く前に読むのをやめます。

担当者向けの詳細は、後半か別添に回してください。前半は決裁の判断、後半は実務の確認、という役割分担にすると、どちらの読み手も必要な場所を見つけられます。

1枚目に入れる要素を固定する

提案書の1枚目は、それだけで社内会議に出せる内容にします。入れる要素は次の五つです。

  • 解決したい課題を、相手の言葉で一文
  • 提案する内容を三行以内
  • 費用の総額と内訳の大枠
  • 開始から完了までの期間と、区切りになる時点
  • 実施した場合に何が変わるか

ここで重要なのは、課題を自分の言葉に言い換えないことです。打ち合わせで相手が口にした表現をそのまま使ってください。「業務効率化」ではなく「月末の請求書作成に三日かかっている」と書きます。決裁者がその状況を知っていれば、一行で話が通ります。

費用を最後まで伏せる構成は避けてください。決裁者は金額から見ます。見つからないと、探す手間を嫌って保留になります。

費用は比較できる形で示す

金額を一つだけ提示すると、相手は「高いか安いか」を判断できません。比較の軸を資料の側で用意します。

  • 何もしなかった場合に続くコスト。作業時間なら、月あたりの時間数と担当者の人数
  • 段階を分けた場合の金額。最小構成と、推奨構成の二本立て
  • 一度きりの費用と、継続してかかる費用の区別

段階を分ける書き方は、決裁が下りやすくなる一方で、最小構成だけで終わる可能性もあります。最小構成でも成果が出る範囲に線を引いてください。中途半端な範囲を最小構成にすると、効果が出ないまま終わり、次の提案が通らなくなります。

値引きを前面に出すのは慎重に考えてください。金額を下げる理由が説明できないと、元の価格の根拠まで疑われます。

想定質問への答えを資料に埋めておく

決裁の場に自分はいません。そこで出る質問に答えるのは担当者です。担当者が答えられない質問が出た時点で、その場では決まりません。

よく出る質問は限られています。

  • 他社と比べてどうなのか
  • 失敗したらどうなるのか、途中でやめられるのか
  • 社内の誰が、どれくらい手を動かす必要があるのか
  • 既存のやりかたや契約との兼ね合いはどうなるのか

これらへの答えを、資料の後半に一問一答の形で入れておきます。担当者がそのページを開いて読み上げれば済む状態にしておくと、その場で話が進みます。

特に「社内の作業量」は書き漏らしやすい項目です。導入側の負担が見えないと、決裁者は隠れた工数を警戒します。誰が何時間必要かを正直に書くほうが、結果として通りやすくなります。

提出したあとの動かし方

資料を送って終わりにしないでください。送付時のメールに、次の三つを書き添えます。

  • この資料のどのページを会議に出せばよいか
  • 質問が出た場合の連絡先と、返答にかかるおおよその時間
  • いつまでに判断が必要か、その理由

期限を書くときは、値引きの期限ではなく、実務上の理由にしてください。着手時期と完了時期の関係など、相手にとって意味のある理由であれば、急かしている印象になりません。

一週間ほど動きがなければ、催促ではなく補足の形で連絡します。「先日の資料について、社内でよく聞かれる点を一枚にまとめました」といった形なら、相手も返信しやすくなります。

まとめ

提案書が止まるのは、決裁者が判断できる形になっていないからです。1枚目に判断材料を集め、費用は比較できる形で示し、想定質問への答えを埋めておく。この三つで、担当者が社内を通しやすくなります。

今日できることを一つ挙げるなら、直近で出した提案書を開いて、1枚目だけを見てください。金額と期間と課題の三つが揃っているか確認し、欠けていれば書き足すところから始められます。

IRS WEBスタジオでは、提案資料の構成整理や、営業まわりの書類テンプレート作成を承っています。既存資料の見直しからご相談いただけます。