予約と在庫のダブルブッキングを防ぐ仕組みの作り方

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電話で「土曜の14時、空いていますか」と聞かれて、手元のノートを見て「大丈夫です」と答える。その数分前に、Webの予約フォームから同じ枠の申し込みが入っていた。気づくのは翌朝、通知メールをまとめて確認したときです。お詫びの電話を入れ、別の日程を提案し、先方の都合に合わせて自分の予定も組み直す。売上は一円も増えていないのに、半日分の時間が消えていきます。

ダブルブッキングは、担当者の不注意として扱われがちです。ただ、同じことが繰り返し起きているなら、原因は注意力ではなく、枠や在庫を押さえる場所が複数に分かれていることにあります。

原因は「入口の数」ではなく「台帳の数」

最初に整理したいのは、入口と台帳を分けて数えることです。

  • 入口:電話、Webフォーム、メール、店頭、外部の掲載サイト、SNSのメッセージ
  • 台帳:その予約や在庫を最終的に記録する場所

入口が複数あること自体は問題ではありません。お客様の都合に合わせて窓口を残すのは自然なことです。問題になるのは、台帳が二つ以上あるときです。紙のノートと表計算ソフト、表計算ソフトと予約システム、店舗の在庫とネットショップの在庫。二つが別々に動いている限り、どちらかが古い情報を持つ瞬間が生まれます。

自社の状況を確かめるには、直近のダブルブッキングを一件思い出して、「空きだと判断したときに見ていた台帳」と「実際に予約が入っていた台帳」を書き出してみてください。名前が違っていれば、原因はそこで特定できています。

押さえるタイミングを決める

台帳を一つに決めたら、次は「いつ枠を押さえるか」を決めます。ここが曖昧だと、台帳が一つでもぶつかります。

よくあるのは、確定した予約だけを台帳に書く運用です。検討中のお客様、折り返し待ちの案件、見積もりを出して返事待ちの枠が、どこにも残りません。その状態で別の問い合わせが来れば、同じ枠を二重に提案してしまいます。

対策は、仮の状態も台帳に入れることです。

  • 仮押さえ:期限つきで枠を確保する
  • 確定:入金や返信をもって状態を変える
  • 取消:行を消さず、取消として残す

仮押さえには必ず期限を書きます。「今週金曜の17時まで」のように具体的に入れておくと、期限が来たときに解放するかどうかを迷わず判断できます。期限のない仮押さえは、実質的に枠を塩漬けにします。取消を削除ではなく状態変更にしておくと、「あの話はどうなったか」を後から追えます。

在庫は引き当ての位置を一箇所にする

商品在庫も考え方は同じです。実物が倉庫にあることと、販売可能であることは別物です。注文が入った時点で在庫から差し引く(引き当てる)のか、出荷時に差し引くのかで、画面に出る在庫数は変わります。どちらが正しいということはありませんが、経路ごとに違うと必ずずれます。

販売経路が複数ある場合は、どこか一つを在庫の正本と決め、他はそこを参照する形にします。店頭とネットショップの両方で売るなら、同じ数字を見ている状態を作るか、それが難しければネット販売用の在庫を物理的に分けて確保する方法もあります。数字の同期が難しいときは、在庫そのものを分けたほうが確実です。

手を動かす順番

一度に全部変えようとすると止まります。次の順で進めると、途中で運用が破綻しにくくなります。

  1. 入口をすべて書き出す。忘れられている窓口ほど事故の元になります
  2. 台帳を一つに決める。既存のどれかで構いません
  3. 他の入口から来た情報を、誰がいつその台帳に転記するかを決める
  4. 仮押さえの状態と期限のルールを決める
  5. 二週間ほど運用し、ぶつかりそうになった場面を記録する

4番までは道具を増やさずにできます。5番で集めた記録を見てから、転記の手間が重い部分だけを自動化すると、使われない仕組みを作らずに済みます。

転記が残る限り、漏れは残る

人が転記している限り、繁忙期や営業時間外には遅れが出ます。通知を見てから台帳に書くまでの間隔が延びれば、その間が事故の時間帯になります。

減らし方は二つあります。一つは入口を減らすこと。使われていない窓口を閉じる、電話での予約は折り返してフォームに案内する、といった調整です。もう一つは、入口から台帳への流れを自動化すること。フォームの送信内容がそのまま台帳に入れば、人がするのは確認だけになります。

どちらを選ぶかは、お客様の層で決めます。電話が主な窓口の相手に電話を閉じると、問い合わせ自体が減ることがあります。その場合は自動化側に寄せるほうが現実的です。

まとめ

今日できることは、直近に起きた予約や在庫のぶつかりを一件選び、「どの台帳を見て空きと判断したか」を書き出すことです。台帳が二つ以上あると分かれば、次に決めることは一つに絞るかどうかだけになります。

IRS WEBスタジオでは、予約フォームや在庫表示の設計、問い合わせから台帳への流れの自動化を承っています。現在の窓口と台帳の洗い出しからご相談いただけます。