制作会社に渡す原稿・写真・ロゴの準備で迷わないための進め方

打ち合わせの席で「素材はこちらで用意します」と答えたものの、自席に戻って共有フォルダを開いたところで手が止まる。会社案内は少し前に作ったPDFしか見当たらず、写真は誰かのスマートフォンの中、ロゴは名刺の入稿データに埋もれている。制作会社からは「原稿・写真・ロゴをお願いします」と一行だけのメールが届いていて、何をどこまで出せばいいのか分かりません。ここで止まると、公開予定日だけが静かに後ろへずれていきます。
原稿は「書く」前に「集める」
原稿づくりでつまずく方の多くは、白紙のファイルを開いて最初の一文から書こうとしています。先にやるべきは執筆ではなく回収です。社内に散らばっている次のものを、整理せず一つのフォルダに放り込んでください。
- 会社案内、パンフレット、チラシのデータ
- 既存サイトの各ページを印刷したもの、または本文をコピーしたもの
- 提案書や見積書に添えている自社紹介のページ
- 求人票や、説明会で配っている資料
- 営業担当がよく聞かれる質問と、その場での答えをメモしたもの
この段階で、必要な文章のかなりの部分がすでに社内にあると分かることがあります。あとは制作会社が構成に合わせて並べ替え、足りないところだけ書き足す形になります。ゼロから書くのと、既存の文章を直すのとでは、かかる時間がまったく違います。
書き下ろしが要るのは、たいてい「代表のあいさつ」「選ばれている理由」「今後の方針」の三つです。ここだけは社内の判断が必要なので、誰が書くか、いつまでに出すかを先に決めておきます。文章としての整え方は後から調整できるので、最初は箇条書きの状態でかまいません。
写真は撮る前に「どこに置くか」を決める
写真は枚数を集めるほど良いと思われがちですが、実際には使い道の決まっていない写真ばかりが増え、選ぶ作業が重くなります。先にページの構成案を見せてもらい、どの位置にどんな写真が入るのかを確認してから撮影に入ってください。
必要になりやすいのは、外観、内観、働いている様子、製品や施工物、そしてトップページの一番上に置く横長の一枚です。最後の一枚は縦横比が特殊で、上下が切り取られる前提の使われ方をします。人の顔や製品の主要な部分が中央寄りに写っているものを選ぶと、どの画面幅でも破綻しにくくなります。
渡すときは、カメラやスマートフォンから出てきた元のファイルをそのまま渡します。チャットやメールの本文に貼り付けると自動で縮小されることがあり、大きく表示したときや印刷物へ転用したいときに耐えられません。容量が大きい場合は、共有フォルダかファイル転送の仕組みを使います。
人が写っている写真は、本人に掲載の可否を確認しておきます。すでに退職した方が写っている古い写真も同じで、後から差し替えになると、そのページだけ印象が変わってしまいます。
ロゴは見た目ではなくデータの種類で判断する
ロゴでよくあるのは、既存サイトから画像を保存して渡してしまうやり方です。これだと輪郭がぼやけたまま拡大され、看板や封筒と並べたときに別物に見えることがあります。
探してほしいのは、拡大しても輪郭が崩れない形式のデータです。拡張子が ai、eps、svg のいずれかであれば、それが元データにあたります。名刺や封筒を作った印刷会社、あるいは以前ロゴを手がけた会社が保管していることが多いので、まずそこへ問い合わせます。
どうしても見つからない場合は、その事実を早めに伝えてください。作り直すのか、手元の画像を整えて使うのかで、費用も工程も変わります。黙って粗い画像を渡すと、公開直前に発覚して、一番動きにくいタイミングで判断を迫られます。
あわせて、背景が透けている版、白背景の版、色を使えない場所向けの単色版があるかも確認しておくと、後の差し替えが減ります。
渡したあとに止まらないための一覧の作り方
素材を送って終わりにすると、「これは何のページの写真ですか」「この文章は最新ですか」という確認が往復し、そのやり取りで日数が消えます。フォルダを分けたうえで、簡単な一覧を一枚添えてください。
- ページ名(会社概要、事業内容、といった単位)
- そのページで使う原稿のファイル名
- そのページで使う写真のファイル名
- まだ用意できていないものと、その担当者名
- 社内の確認がまだ済んでいないもの
効きやすいのは四つ目と五つ目です。足りないものを隠さず書いておくと、制作会社は揃っている部分から着手できます。全部揃うまで待つ進め方より、結果として早く仕上がることが多くなります。
原稿を直したときは、ファイル名の末尾に版数を付けて、どれが最新か分かるようにしておきます。複数人で手を入れると同じ名前のファイルが増え、古い版のまま公開されてしまうことがあります。
まとめ
準備でつまずくのは、素材が足りないからというより、どこに何があるか分からないからです。今日できることを一つ挙げるなら、共有フォルダに「サイト素材」という名前のフォルダを作り、会社案内のデータと既存サイトの文章を、整理せずそのまま入れてみてください。入れた時点で、足りないものが見えてきます。
IRS WEBスタジオでは、Webサイトの制作と、それに伴う原稿や素材の整理を承っています。手元にあるもので何が使えるのかという棚卸しからご相談いただけます。