応募ゼロの求人票を書き直す前に、原因を切り分ける

求人を出しているのに、応募が一件も来ない。掲載から二週間、管理画面を開くのが憂うつになってくる頃、多くの担当者がやることは決まっています。求人票の文面を書き直す。仕事内容を厚くして、歓迎条件を足して、最後に「アットホームな職場です」と添える。
それで動くこともありますが、動かないことのほうが多い。原因が文面になかった場合、何時間かけて書き直しても数字は同じだからです。
どこで止まっているのかを先に見る
求人媒体の管理画面には、検索結果や一覧に表示された回数、詳細ページが開かれた回数、応募に至った件数が、たいてい段階ごとに残っています。呼び方は媒体によってばらばらで、表示・インプレッション・閲覧数など揃っていませんが、見る順番は変わりません。上から順に、どこで数が落ちているかを確かめます。
表示回数そのものが少ないなら、本文はまだ関係ありません。疑うのは職種名・勤務地・雇用形態・給与の下限といった、検索条件に引っかかる部分です。社内でしか通じない役職名を職種名に入れていないか。勤務地を本社所在地だけにしていて、実際の勤務先の地名で探している人に届いていないか。掲載期間が切れかけていないか。
表示はされていて、詳細もそこそこ開かれている。それなのに応募がゼロ。この場合は中身の問題で、しかも「読んで、迷って、閉じた」人がいるということです。迷わせている箇所を探すほうが、書き足すより早く効きます。
「自分にできそうか」が読み取れるか
応募をためらう理由で一番多いのは、条件そのものより、自分に務まるかどうかが判断できないことです。「営業事務全般」「幅広い業務をお任せします」と書かれていると、読んだ人は想像で埋めるしかない。想像した結果、たいていは応募しない方向に転びます。
直し方は単純で、一日の流れを時間で書くこと。朝は受注データの取り込みと在庫の確認、午前中に問い合わせメールの返信、午後は見積書の作成と発送手配、といった具合に、実際の動きをそのまま並べます。使うソフトの名前も書いたほうがいい。誰と一緒に働くのか、何人の職場なのかも、想像で埋められては困る情報です。
未経験可とするなら、最初の三か月で何ができるようになっていればいいのかを書きます。「丁寧に教えます」は、教え方の説明にはなっていません。
条件欄をぼかすと、応募も入社後も苦しくなる
就業場所や業務の変更の範囲を書く欄に、「会社の定める場所」「会社の指示する業務」とだけ入れている求人票をよく見かけます。形式は満たしていても、読み手にとっては何も決まっていないのと同じで、転勤の可能性を気にする人ほど慎重になります。異動が実際にないなら「変更なし」、あり得るなら候補になる拠点名や業務の範囲を書く。書いた通りに運用する覚悟がいる欄ですが、ぼかして応募を集めても、面接や入社後に食い違いが出るだけです。
固定残業代も同じで、何時間分でいくらなのか、超えた分は別途支給されるのかまで書かれていないと、給与額そのものが信用されません。年収の幅を広く取りすぎるのも考えものです。下限が募集の実態と離れていれば、検索で弾かれるか、面接で説明に困ります。
最低賃金が改定される時期には、掲載中の求人の時給・月給表記を一度洗い出してください。求人媒体だけでなく、自社サイトの募集ページ、店頭の貼り紙、以前配ったチラシのPDFまで残っていることがあります。改定の発効日は地域によって違うので、拠点が複数あるなら拠点ごとに確認します。なお、記載内容が法令上問題ないかの最終判断は、労働局や社会保険労務士に確認するのが確実です。
大きな条件で勝てない会社が書けること
給与も休日も大手に届かない。それでも書けることはあります。事実に置き換えるだけです。
「アットホームな職場」が嫌われるのは、嘘だからではなく、情報量がゼロだからです。社員が四人で、全員が同じ部屋にいて、分からないことはその場で聞ける。残業は月に平均して何時間くらいで、繁忙期は何月。有給は前日申請でも通っている。こうした、社内では当たり前すぎて書く気にならない事実のほうが、読み手には判断材料になります。
逆に、書けないことは書かない。残業が多い月があるなら隠さず書く。それで減る応募は、入社後に辞めていた応募です。
まとめ
文面に手を入れるのは、そのあとで構いません。今日やることを一つだけ選ぶなら、媒体の管理画面を開いて、表示・詳細閲覧・応募の三つの数字を書き出すこと。どこで落ちているかが分かれば、直す場所は自然に決まります。
求人票や採用ページの原稿を、仕事内容・一日の流れ・求める人物像・よくある質問まで含めてまとめ直す作業は、当スタジオでもお手伝いしています。現在の求人票を拝見したうえでのご相談も承ります。