問い合わせ対応の定型文をテンプレート化して返信を速くする方法

問い合わせフォームから通知が届きます。内容を読んで、「これ、先月も同じ質問が来たな」と思いながら、過去のメールを検索します。似た返信を見つけて、コピーして、宛名を直して、状況に合わせて少し書き換える。ここまでで15分。そして次の問い合わせを開くと、また同じ作業が始まります。
一件一件は大した手間ではありません。ただ、これが1日に何件も続くと、まとまった作業時間が細切れになります。返信が遅れると相手を待たせますし、急いで書くと文面の質が落ちる。テンプレート化は、この板挟みを解く現実的な手段です。
過去の返信から型を取り出す
テンプレートは、ゼロから考えて作るものではありません。すでに書いた返信の中に、型はできあがっています。
送信済みメールを新しい順に30通ほど開き、問い合わせの種類で分類してください。分類の粒度は、返信の書き出しが同じになるかどうかで判断します。同じ書き出しで始められるなら、同じ分類です。
多くの場合、次のようなまとまりに分かれます。
- 料金や見積もりを聞かれたもの
- 納期やスケジュールを聞かれたもの
- 対応可能な範囲を聞かれたもの
- 不具合やトラブルの報告
- 資料請求や初回の相談申し込み
- こちらの対応範囲外で、丁重にお断りするもの
分類ごとに件数を数えると、どれが多いかが見えます。件数が多い上位3つだけを先にテンプレート化してください。全種類を網羅しようとすると作業量が膨らみ、完成しないまま放置されます。
固定部分と可変部分を分ける
テンプレートの質は、「どこを毎回書き換えるか」の設計で決まります。書き換える箇所が多すぎると結局ゼロから書くのと変わりませんし、少なすぎると機械的な印象の文面になります。
1通の返信を、次の4つのブロックに分けて考えます。
- 冒頭のあいさつと、問い合わせへのお礼。ここは完全に固定でかまいません。
- 相手の質問内容を、こちらの言葉で言い直す部分。ここは毎回書き換えます。1〜2文で十分です。
- 回答の本体。分類ごとに用意した固定文に、金額や日数などの数字だけを差し込む形にします。
- 次の行動の案内と、締めのあいさつ。ここも固定でかまいません。
書き換える箇所には、【 】のような目印を入れておきます。【お名前】【ご質問の要点】【お伝えする納期】のように、何を入れるかが分かる言葉にしておくと、埋め忘れに気づきやすくなります。目印が残ったまま送信してしまう事故は、この工夫で減らせます。
相手の質問を言い直すブロックを必ず入れるのがポイントです。ここがあるだけで、テンプレートを使っていても「ちゃんと読んでもらえた」という印象になります。逆にここを省くと、どれだけ丁寧な文面でも機械的に感じられます。
条件分岐は本文に書き込んでおく
問い合わせの多くは、「条件によって答えが変わる」性質を持っています。対応できる場合とできない場合、急ぎの場合とそうでない場合。これをテンプレートの外に置くと、毎回判断に迷います。
そこで、テンプレートの中に分岐そのものを書いておきます。
- 「※在庫がある場合はこの段落。ない場合は下の段落に差し替え」
- 「※先方の希望日が7営業日以内のときは、この一文を追加」
- 「※初回のお問い合わせのときは、この案内を挿入」
送信前にこの注記は消します。手間に思えますが、判断基準が文面のすぐ横にあることで、考える時間が大きく減ります。担当者が複数いる場合は、回答のばらつきも抑えられます。
探さずに取り出せる場所に置く
テンプレートを作っても、探すのに時間がかかれば意味がありません。保管場所は、次の条件を満たすところを選びます。
- メールソフトから離れずに開ける
- 分類名で目的の文面にたどり着ける
- 誰でも編集でき、直した内容がすぐ全員に反映される
- 検索がきく
メールソフトの署名機能やテンプレート機能に登録する方法、共有のドキュメントに一覧で置く方法、入力補助ツールに短い呼び出し文字列を割り当てる方法などがあります。どれでも構いませんが、複数の場所に散らばるのだけは避けてください。更新されない古いテンプレートが残り、内容が食い違う原因になります。
使いながら直す前提で運用する
最初に作ったテンプレートは、たいてい少し長すぎるか、想定していた質問と実際の質問がずれています。使ってみて初めて分かることです。
運用のルールはひとつだけ決めておきます。「テンプレートを書き換えて送ったら、その場で元のテンプレートにも反映する」。送信した直後が、どこを直すべきか一番よく分かっているタイミングです。後でまとめてやろうとすると、忘れます。
月に一度、送信済みメールを見返して、テンプレートから大きく離れた返信がないかを確認してください。同じパターンで2回以上書き換えているなら、それは新しいテンプレートの候補です。
まとめ
問い合わせ対応のテンプレート化は、文面を作る作業ではなく、分類と可変箇所の設計です。過去の返信から多い順に3種類を選び、固定部分と書き換え部分を分け、判断基準を文面の中に書き込み、すぐ取り出せる場所に置く。この順で進めれば、数日で効果が出ます。
今日できることは、送信済みメールを直近30通ひらいて、問い合わせの種類ごとに正の字で数えることです。一番多かったものが、最初に作るべきテンプレートです。
IRS WEBスタジオでは、問い合わせ対応の手順づくりや、返信テンプレートの設計を承っています。今の対応フローの棚卸しからご相談いただけます。