競合調査で何を見るか。集めた情報を判断に使える形にまとめる手順

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上司から「競合がどうなっているか調べておいて」と言われ、同業他社のサイトを十数件ブラウザのタブに開いたところで手が止まる。どれも似たようなことが書いてあり、メモに残したのは「デザインがきれい」「実績が多そう」といった感想ばかり。一週間後、資料にまとめようとして、何を根拠に何を言えばいいのか分からなくなる。

競合調査が徒労に終わるのは、調べる前に「この調査で何を決めるのか」を決めていないからです。順番を入れ替えるだけで、同じ作業が使える材料に変わります。

調査の前に、決めたいことを一文で書く

最初にやるのは、サイトを開くことではありません。この調査の結果、何を決めるのかを一文で書くことです。

  • サービスページに載せる価格の見せ方を決めたい
  • 問い合わせフォームの項目を増やすか減らすかを決めたい
  • 新しく出すサービスの説明の切り口を決めたい
  • 自社サイトで強く打ち出す強みを一つに絞りたい

一文が書けないなら、調査はまだ早い段階です。関係者に「この調査で何を判断しますか」と聞いてください。ここが曖昧なまま進めると、何を見ても「参考になりました」で終わります。

決めたいことが複数ある場合は、一回の調査で一つに絞ります。価格の見せ方とフォームの設計を同時に調べると、見る画面も判断軸も違うため、どちらも中途半端になります。

比べる相手を三層に分けて選ぶ

競合を「同業他社」とひとくくりにすると、数が多すぎて手が回りません。三層に分けます。

  • 直接競合:同じ地域・同じ規模の相手に、同じサービスを売っている
  • 間接競合:相手の悩みは同じだが、解決の手段が違う
  • 参考対象:業種は違うが、見せ方や説明の仕方が上手い

数は、直接競合を三〜五社、間接競合を二社、参考対象を二社ほどで十分です。十件を超えると、比較ではなく収集が目的になります。

選ぶときの手がかりは、実際の見込み客が使いそうな検索語で調べて上位に出てくる相手、既存の顧客から「他にどこを検討しましたか」と聞いて出てきた名前、業界の名簿や展示会の出展者一覧などです。自分が知っている有名企業だけを並べると、実際の競合とずれます。

見る項目を先に固定し、同じ順番で全社を回る

項目を決めずに見ると、会社ごとに違うところを見てしまい、後で比べられません。先に項目を決め、すべての会社で同じ順番に見ます。

決めたいことが「価格の見せ方」なら、たとえばこう決めます。

  1. 価格を載せているか、載せていないか
  2. 載せている場合、どの単位で示しているか(一式、月額、時間あたりなど)
  3. 幅を持たせているか、一点で示しているか
  4. 価格の前後に、何の説明を置いているか
  5. 価格から問い合わせまでに、何ステップあるか

項目は五〜八個が扱いやすい範囲です。調査の途中で「これも見たい」が出てきたら、メモに追記して、その項目は最後にまとめて全社を見直します。途中から項目を足すと、前半の会社だけ情報が欠けます。

一社あたりにかける時間も決めてください。十五分から二十分で区切ると、深入りして時間を溶かすことを防げます。

表にするときは、事実の列と解釈の列を分ける

集めた情報は表にまとめますが、ここで多くの人が事実と感想を同じマスに書いてしまいます。列を分けてください。

  • 事実の列:ページに書かれていたことをそのまま写す。「月額プランを三段階で表示」など
  • 解釈の列:それが何を狙っているかの推測。「検討の初期段階でも比べられるようにしている」など
  • 示唆の列:自社がどうするかの案。「うちは幅を持たせた表示にして、条件を注記で添える」など

分ける理由は、後で読み返したときに、どこまでが確かめた話でどこからが推測かを区別するためです。関係者に説明するときも、事実の列だけを見せれば、相手が自分で解釈できます。

表は一社一行ではなく、項目を行に、会社を列にすると比べやすくなります。横に読めば各社の方針が、縦に読めば項目ごとの業界の傾向が見えます。

「共通点」と「例外」の両方から打ち手を出す

表ができたら、二つの見方で読みます。

共通点を探す見方では、ほとんどの会社が同じようにしている箇所を探します。そこは、業界の読み手が慣れている形です。理由もなく外すと、分かりにくいと受け取られる可能性があります。

例外を探す見方では、一社だけ違うことをしている箇所を探します。そこには理由があるはずで、うまくいっているなら真似る候補、うまくいっていなさそうなら避ける候補になります。判断がつかないときは、その会社の他のページも見て、方針として一貫しているかを確かめます。

そのうえで、自社の打ち手を書きます。書き方は「項目 → 各社の傾向 → 自社はこうする → その理由」の四点セットです。理由まで書いておくと、後から誰かに問われたときに説明できますし、時間が経って状況が変わったときに、見直す判断もできます。

調査は一度で終わりにせず、同じ項目で半年後か一年後にもう一度回ると、変化が見えます。変化のほうが、一時点のスナップショットより多くを教えてくれます。

まとめ

競合調査は、調べる前に「何を決めるのか」を一文で書くところから始めます。相手を三層に分けて絞り、項目を先に固定して同じ順番で回り、表では事実と解釈と示唆の列を分ける。ここまでやれば、集めた情報はそのまま判断の材料になります。

今日できることは、いま抱えている「調べておいて」の依頼について、この調査で決めたいことを一文だけ書いてみることです。書けなければ、依頼者に聞くところからです。

IRS WEBスタジオでは、Webサイトの制作と情報整理の仕組みづくりを承っています。競合調査の項目設計や、集めた情報の整理からご相談いただけます。