ライターがいない会社が、記事のネタを社内から集める方法

月に二本の記事を出す、と決めて三か月。最初のうちは書きたいことがありましたが、四本目あたりでネタが尽きました。会議で「何か記事のテーマありませんか」と聞いても、全員が黙るか「お任せします」と返ってくるだけ。結局また自分で絞り出し、当たり障りのない内容を公開する。専任のライターがいない会社では、珍しくない状況です。
ネタが出ないのは、社内に話す材料がないからではありません。材料は現場にありますが、それが記事になると誰も思っていないだけです。ここでは、集める場所と聞き方を具体的に決めていきます。
まずは問い合わせと質問の記録を見に行く
最も確実な供給源は、お客さまから実際に来た質問です。営業のメール、問い合わせフォームの本文、電話のメモ、見積もり前のやり取り。ここに残っている質問は、すでに誰かが言葉にした疑問なので、想像でつくったテーマより外れにくくなります。
見るときは、次の順で拾ってください。
- 同じ内容を二回以上聞かれた質問
- 答えるのに毎回時間がかかっている質問
- 答えたあとに「そうだったんですね」と反応があった質問
三つ目が特に記事向きです。相手が知らなかったことであり、かつ知ると納得できる内容なので、読み物として成立します。拾った質問はそのままの言葉で書き留めます。社内用語に言い換えると、検索されている言葉から離れてしまうためです。
現場の人には「テーマ」ではなく「場面」を聞く
「記事のネタはありませんか」という聞き方では出てきません。相手は記事の形を知らないので、何を答えればよいか分からないからです。聞くのはテーマではなく、直近にあった場面にします。
短時間で答えてもらえる質問の型は、たとえば次のようなものです。
- 今月、お客さまから一番多かった質問は何でしたか
- 説明するのに一番時間がかかったのはどの話でしたか
- 「よく誤解されるな」と感じることはありますか
- 新しく入った人に必ず説明することは何ですか
- 断られた理由で、いちばん多かったものは何でしたか
どれも一問一答で答えられるので、立ち話や会議の終わり五分でも成立します。四つ目は特に有効です。新人に毎回説明する内容は、社外の人にとっても前提知識のない話なので、そのまま入門記事になります。
集める場を、既存の流れの中に置く
ネタ集めのために新しい会議を作ると、ほぼ続きません。すでにある流れに乗せます。具体的な置き方は次のとおりです。
- 定例会議の最後に、上の質問を一つだけ聞く枠を三分とる
- 社内チャットに投稿用の場所を一つ作り、気づいたことを一行で投げてもらう
- 問い合わせ対応のあと、対応者が一行だけ残す
大事なのは、投げる側の負担を一行に抑えることです。「詳しく書いて」と求めた時点で投稿は止まります。一行で十分だと明示し、詳細が必要なら書き手のほうから後で聞きに行く、という分担にします。
協力してもらえたら、記事が公開されたときに「この記事は〇〇さんの話から書きました」と伝えてください。自分の話が形になったと分かると、次から声がかかりやすくなります。
集めたネタは、その場で記事の形に整えない
集まった一行メモを、すぐ記事にしようとすると詰まります。一行のままでは中身が足りず、書ける状態になっていないからです。間に一段階はさみます。
一か所にまとめた一覧に、次の三項目だけ足しておきます。
- 誰が困っている話か(検討中の人か、すでに使っている人か、社内の人か)
- その話を聞いたときの相手の反応
- 自社が答えを持っているか、調べる必要があるか
三項目がそろったネタから書けば、構成を考える段階でつまずきません。逆に、三つ目が「調べる必要がある」になっているネタは後回しにします。時間のない状況では、すでに答えを持っている話から先に形にするほうが、公開まで届きます。
一覧を切らさないための最低限の運用
貯まった一覧は、月に一度だけ見直します。やることは二つです。
一つは、上から順に並べ替えること。判断の基準は「今月中に書けるか」で、資料が手元にあるものを上に置きます。もう一つは、古くなったネタを消すこと。半年前に出たまま一度も選ばれていないネタは、以降も選ばれない可能性が高いので、一覧から外して視界を軽くします。
一覧に十件前後が常にある状態を保てれば、書き始める日に「何を書くか」で悩む時間はなくなります。件数が減ってきたら、前述の質問を一つ、会議で聞くだけで補充できます。
まとめ
記事のネタは、考えて絞り出すものではなく、日々の業務の中から拾い上げるものです。今日できることとして、直近の問い合わせメールを十件だけさかのぼり、二回以上聞かれている質問を一つ書き出してみてください。それが次の記事のテーマになります。
IRS WEBスタジオでは、記事制作と、社内からネタを集める仕組みづくりを承っています。いまある問い合わせ記録の整理からご相談いただけます。